林:今日は私のことより先生のお話を(笑)。先生は得度された後も、ものすごくお忙しかったでしょう。先生の人生で暇なときって……。

瀬戸内:ない。

林:今も引っ張りだこですもんね。

瀬戸内:今の若い秘書が賢くて、「こんなに働いたら死んでしまう」と、近頃は何でもかんでも断ってしまうの。私は「ああ、惜しいな」と思って、後でひそかに電話をかけて引き受け直したりして怒られてる(笑)。

林:昨年の10月には有馬稲子さんと公開対談されてましたよね。有馬さんもすごくおもしろい方。

瀬戸内:ものすごく生真面目な人なの。今でも美しいし。でもあんなに男運のない人はいないね。

林:先生は男運がよかった?

瀬戸内:外から見たらいい男じゃなくてもね。私が若い男と一緒にいるときに、有吉佐和子さんが来たんです。そしたら後で「瀬戸内さんの男を見た。どうしてあんなにつまらない男と一緒にいるんだろう」って言いふらしたんですよ(笑)。でも私はいいと思ってたの。今でも一番心に引っかかるのは、その男ね。

林:まあ。

瀬戸内:だって私と別れた後、自殺したんだもん。私と別れてしばらくして首吊ったの。もしも私とそうならなかったら、普通に生きて穏やかな一生を送っただろうなと思って。

週刊朝日 2017年3月3日号より抜粋

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