■外海地区
長崎市北西の沿岸部・外海地区が、主要舞台の「トモギ村」だ。キリシタンを水の中で磔にするなど、海は重要な意味を持っている。景色の良い高台には「沈黙の碑」が建立され、遠藤は碑のために文章を残した。〈人間がこんなに哀しいのに 主よ 海があまりに碧いのです〉。長崎市遠藤周作文学館で撮影。
祈りの岩。外海地区は平地が少なく、集落のすぐ後ろは山。キリシタンは山深い岩陰などで、ひそかにオラショ(祈り)を捧げた。この岩のそばには、全国に三つしかないキリシタン神社のひとつ、枯松神社が立っている。宣教師サン・ジワンはこの周辺に隠れていたという ●長崎市下黒崎町
■遠藤周作文学館
遠藤が愛用した机や、『沈黙』などの直筆原稿が展示されている。遠藤は400字詰め原稿用紙の裏に、鉛筆を用いて実に細かい字で執筆した。秘書が清書すると、1枚で原稿用紙8~9枚分になった。外海の海を見下ろすように建っており、ここからの日没の様子は絶景 ●長崎市東出津町77
■雲仙地獄
最高120℃の熱水がシューシューと音をたてて激しく噴き出し、強い硫黄臭が漂う。まさに地獄のイメージそのものだ。熱湯をかけられ拷問されたキリシタンもおり、記念碑が建てられた。見学に来た監督のインスピレーションを強く刺激したのだろう。映画の冒頭に重要なシーンとして登場 ●雲仙市小浜町雲仙
※週刊朝日 2017年1月27日号より抜粋