■期待の若手に稽古をつける
稽古は着物や浴衣に着替えたうえで、数メートル離れた所に座って行われる。吉原の花魁、客、番頭の3人による会話が続く。花魁の言葉の調子から吉原の様子が目に浮かんでくるようだ。「私は花魁をメインに演じています。(美馬さんは)そこを気に入ってくれたようです」
■昼食は老舗とんかつ屋で
稽古の後は、近くの老舗とんかつ屋「井泉」で食事。美馬さんは2012年に桃花さんのNHK新人演芸大賞の様子を見てファンになったと打ち明け「10年越しの夢がかないました」。落語界では食事の際には、人数に関係なく一番上の師匠が全員分を払うのが暗黙のルールである
■着付けは前座が手伝う
落語協会から浅草演芸ホールまでは、地下鉄で移動。東京メトロ24時間券(600円)を利用し、「乗り放題でお得なんですよ」としっかり者の面を見せる。ホールの楽屋に入り、頃合いを見て前座が手伝う形で着替えを。それまでの和やかな表情が次第に変わっていく
■楽屋でネタ帳を入念にチェック
寄席の楽屋には、前座がその日に行われた演目をすべて記す「ネタ帳」がある。これを確認することで、前の人と演目がかぶらないうえ、全体の流れもつかめる。「最終的に何をやるかは、高座に上がって枕を振って(導入のトークで)お客さんの反応を見て決めます」
(取材・文/本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2023年2月24日号