昨年3月、真打ちに昇進した春風亭ぴっかり☆改め蝶花楼桃花。彼女が高座に上がるや、寄席はたちまち華やぐ。昨年9月に女性落語家として初めて「笑点」大喜利に出演した折も、好評を博した。いま最も注目の人気噺家に密着。
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昨年7月、東京・浅草演芸ホールで主任(トリ)を務めた。真打ち昇進からわずか4カ月後のことで、これは落語協会発足以降最速記録だ。うまい、かわいい、華がある、と三拍子そろった「寄席のプリンセス」の異名を取る。
飛ぶ鳥を落とす勢いの蝶花楼桃花さんは、1月のある日、東京・湯島にある落語協会の一室で前座の落語家と向かい合い、噺を始めた。古典の「お見立て」。前座は食い入るように聞く。
これこそが落語の稽古。終了後にいくつか質問をした前座は、帰って自分で精進し、然る後に桃花さんの前で披露する。そこで許可が下りて、初めて高座で演じることが認められるのだ。
終了後、桃花さんは「前座さんにお稽古をつけるのは、今日が初めてなんです」と打ち明けた。この日、教えを請うたのは、鈴々舎美馬さん。桃花さんの弟子ではないし一門も違うが、
「習いたい人にお願いして教わるんです。私も『お見立て』は2年前に(林家)たい平師匠に稽古をつけていただきました。先輩から受けた恩を、後輩に返していくんです」
真打ちとして、落語界の伝統を後進に伝えていくのだ。