莫大な建設費をめぐってすったもんだの展開が続く東京五輪・パラリンピック。だが、海の中にも意外な問題が潜んでいることをご存じだろうか。
トライアスロンと水泳のマラソン会場に選ばれたお台場海浜公園(港区)の近くの海中に潜り、約20年にわたって定点観測を続けている日本水中科学協会の須賀次郎代表理事(81)がこう語る。
「この20年で、海中の環境はどんどん悪くなっています。マハゼやイシガニなど生物の数は減っているし、環境汚染に伴う青潮などの影響か、夏には海底近くが無酸素に近い状態となって貝などが死滅する現象が起きる。近年増えた外来生物のホンビノスガイなどの死骸が海底に累々と折り重なります。競技に直接支障はないでしょうが、イメージの問題はあるでしょう」
夏といえば、まさに東京五輪の開催時期。リオ五輪ではリオデジャネイロ沿岸の海の汚さが話題となったが、日本もよそ様のことを笑っている場合ではない。
問題はまだある。都が2013年にまとめた環境調査では、この付近の海中で国の水浴場の基準値(100ミリリットルあたり1千個)を超えるふん便性大腸菌群が検出されているのだ。
「大腸菌群の値は普段は基準値以下ですが、大雨の後などに下水処理場の能力が追いつかなくなり、汚水がそのまま放水されるため一時的に高くなる。この状況は今も改善されていません」(前出の須賀氏)