「記念会館の建設時には、政治家や財界人の献金ばかりではなく、中高生からの寄付もありました。政府は一銭も出しておらず、市民の浄財で造られたことを忘れてはなりません」(原さん)
広く各国からも記念品が寄せられた。敷地内に立つ三面の時計塔は三権分立をイメージしたもので、スイスから寄贈された。
公文書館を所管する内閣府に問い合わせた。
「まだ『一棟案』に正式に決まったわけではありません。反対の声があるのでしたら、勘案して計画を進めます」(公文書管理課)
情報公開制度に詳しい獨協大学法学部の右崎正博教授はこう見る。
「立憲主義を大事にするという意味でも、合併して記念館の意義を縮小させるようなことはあってはなりません。一方で、日本では公文書館の存在が諸外国と比較してあまりにも軽視されてきた。公文書を保存するか廃棄するかは、基本的には各行政機関の判断に委ねられ、都合の悪いものは国民の目にさらされることなくどんどん捨てられているのが現状です。施設が両立する道を探ってほしい」(本誌・亀井洋志、大塚淳史、吉﨑洋夫、秦 正理/今西憲之)
※週刊朝日 2016年11月4日号