「銀行員にとっては、10年後を見据えて融資を判断したところで自分の人事評価にはつながらない。短い、せいぜい半年程度であげた成果で評価されるんです。そのために手っ取り早いのが、アパートローンなどの不動産融資。アパート建設計画で融資を求められ、目の前に億円単位の案件が来たら『ノー』とは言えないでしょう」
地銀は従来、地域の企業や住民にきめ細かいサービスを提供し、強固な顧客基盤を持っていた。それが今や、将来性に疑問のあるような不動産開発に目が眩んでしまうというのだ。
日本銀行によると、地銀を含む国内銀行による不動産業への融資残高(6月末時点、個人住宅向けローンは除く数字)は計68兆3206億円と過去最高を記録。四半期ベースでみた不動産業への新規貸し出しも、もっぱら1兆~2兆円台を行き来していたものが、8期連続で2兆円超が続いており、「不動産ミニバブル」だった06年前後以来の好調ぶり。バブル期、ミニバブル期に匹敵し、山脈のような高い水準を示している。
住宅ローンの新規貸し出しをみても、6月末まで2期連続で4兆円超。連続はミニバブル期以来だ。SMBC日興証券のリポートによると、都市銀行が不動産融資に慎重な姿勢でいるのに対し、地銀の昨年の新規融資の半分を「不動産業」が占めているという。
※週刊朝日 2016年10月28日号より抜粋
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