次々と、問題が暴かれ信用が失墜していく東京都。しかし、都職員には、全国一おいしい高待遇と巨大な「天下り」利権が用意されているという。主な天下り先は、民間企業もあるが、都と密接な法人である「監理団体」と「報告団体」だ。
監理団体は、都が基本財産に出資などを行っている公益法人や、25%以上出資している株式会社などが該当し、都の指導監督下にある法人のことだ。公益財団法人・東京税務協会や同・東京都スポーツ文化事業団など33団体を数える。報告団体は、都が出資などをしているが、運営状況の報告のみにとどまる法人などで、51団体ある。15年発表の天下り実績だけ見ても「監理団体」と「報告団体」で37人、公益団体の35人、民間企業の17人と比較しても比重が大きい。実質的に都の“ファミリー企業”と言っても過言ではない。
「政府の監視」を基本理念とするNPO法人「万年野党」は、都職員の天下り状況を調査してきた。理事の原英史氏が解説する。
「都はやはりおカネがあるから、それだけ外郭団体の数や規模も大きい。民間企業の場合、都から有利な情報を得る見返りとして天下りを受け入れているとしたらとんでもないことで、透明化が求められます。『天下り禁止』というルールをつくるだけでは、実際はすり抜けられてしまう。大阪府や大阪市では、橋下徹氏が12年に外部の委員で構成する『人事監察委員会』を設け、機能しています」
予算規模13兆円超と、スウェーデンなどの国家予算に匹敵する実力を誇る東京都。その待遇を見てみると、さすが首都の公務員は“おいしい”。職員(一般行政職)の平均給与月額は47都道府県中トップの45万4900円で、これに年間103万2600円の期末手当と67万5800円の「勤勉手当」がつく。
都庁職員のおいしい生活は高給、天下りばかりではない。現役の都職員が“ファミリー企業”に頻繁に出向しているのだ。15年8月1日現在で、都から派遣された職員数は監理団体1863人、報告団体に396人にもなる。
団体によっては、全職員の多くを都職員が占めているところさえある。理事長ら幹部職員は天下り、実動部隊は派遣職員という構成になる。もちろん、都民にとって必要な施設もあるが、一方で労使ぐるみのボッタクリを疑わざるを得ないケースもあるのだ。調査を実施した都議会議員の上田令子氏(自由を守る会代表)が語る。