「投資家は『何を買うか』ばかりに注意を向けがちだが、『どう組み合わせるか』のほうが重要。投資対象を限定すると倒産などのリスクが大きくなるし、日本の資産だけだと成長は限られます。知らない企業や国も含め、世界の経済成長に広く浅く乗っていくほうがリスクを抑えられます」
米国ではすでにポピュラーな資産運用ツールだが、日本には昨年登場した。
15年5月、香港の金融グループの8リミテッド傘下のエイト証券が日本初のロボアドバイザー投資「8 Now!(エイトナウ)」を始めた。アメリカの投資助言会社モーニングスター・インベストメント・マネジメント社開発のアルゴリズムを採用し、約1万円から始められるおまかせ運用として話題となった。
ベンチャー企業「お金のデザイン」も、16年2月に「THEO(テオ)」を開始。7月には楽天証券が15本の低コスト投信を組み合わせる「楽ラップ」を、メガバンクなどが出資する「ウェルスナビ」も同時期にサービスを始めた。
これらの運用対象は、米国の証券取引所に上場する投資信託のETF。幅広く分散投資できるうえ、米国のものは日本よりも取引が盛んで、流動性も高い。お金のデザインの馬場康次氏は、こう話す。
「保有コストが安く、6千種以上あるのもメリット。たとえば、先進国株式といった同じカテゴリーでも多くのETFがあり、ベストなものを選べます」
一方、楽天証券は唯一、投資信託が運用対象だ。
「上場するETFは価格が常に変動しますが、投資信託は価格がつくのが1日1回で、お客様間の不公平が生じにくい。信託報酬も0.1%台のものもあり、ETFに遜色ない低コスト商品を用意しています」(楽天証券・善場祐介氏)
※週刊朝日 2016年9月16日号より抜粋
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