母親が男児の異変に気づいたのは、入学2カ月後の6月ごろ。自宅で、男児が「お父さんってどこにいるの?」と言いだした。母親は夫の家庭内暴力(DV)が原因で離婚し、男児は父親の顔を知らない。なぜそんなことを聞くのかと息子に問うと、「先生に聞かれるから」と言うのだった。

「母子家庭であることは入学時に提出した家庭調査書でわかっていること。担任に『子どもに聞く必要があるんですか』と尋ねたら、『生と死の教育で必要だ』と言われました」(母親)

 母親によると、男児は担任から父のことを何度も聞かれ、「こんな学校嫌や」と口走った。以後、担任からは「別の学校に行けば」と繰り返し言われるようになったという。

 それから間もなく、男児は母親に「席替えして独りぼっちになった」「僕が休んでいるとき、先生がクラスの子みんなの前で『◯◯君(男児の名前)とはかかわっちゃダメ』って言ったんだって。友達がそう言ってた」と打ち明けた。

 驚いた母親は翌日、学校を訪ね、教室へ向かった。そこで見たのが、冒頭の光景だ。担任に理由を尋ねても、説明が二転三転。校長と会い、「男児とかかわるな」という担任の発言について問いただすと、「聞き間違いの可能性が高い」の一点張りだったという。

「この日の帰りに、同じクラスの子3人と会いました。『うちの子とかかわっちゃダメって先生に言われた?』と尋ねてみたら、3人とも口をそろえて『うん、言われた』って」(同)

 母親は7月下旬、男児の通っていた丸亀市内の保育園の園長(44)と弁護士を伴い、学校側と話し合いをもった。

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