公明党代表の山口那津男氏 (c)朝日新聞社
公明党代表の山口那津男氏 (c)朝日新聞社
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 安保法制ではブレーキ役になるはずが、逆に推進役になってしまった創価学会・公明党。学会員のなかには、そうした学会の動きに反対している者も少なくない。

 むろん学会も組織の引き締めに気をもんでいる。昨年9月、公明党本部に安保法制に反対する署名9177筆を提出した愛知県安城市在住の学会員・天野達志さん(52)がこう語る。

「安保法成立前、地域の学会の会合では安保法制についての説明のビデオが上映されましたし、法案に反対を表明した一部の会員の家には幹部が個別に訪問して『どうしちゃったの?』などと指導して回ったと聞いています。昨年11月ごろからは、地区部長を集めた会合で『参院選に完全勝利する、絶対負けられない』などと、早くも夏の選挙に向けた動きが始まっています」

 とはいえ、学会内で安保法への反対運動が本格化する気配もない。

「内心、違和感を覚えている会員も何割かいるでしょうが、声を上げる人はごくわずかしかない。そうした人は活動をやめてしまい、本部の方針に疑問を抱かないイエスマンしか残らない。これで本当に良いのかと危機感を持っています。選挙が近づくたびに、会員が集まる『座談会』でも『候補者の○○さんについて友人何人に話しました』など、選挙の話題がメインになる。本来の信仰がおろそかになっていると感じます」(天野さん)

 安倍政権が安全保障や憲法改正など組織を揺るがしかねない重要課題を次々と突きつけるのに、学会員にとって唯一最大の“カリスマ”である池田大作名誉会長(88)は沈黙を続けている。10年6月の本部幹部会を欠席して以来、公の場に姿を見せていないのだ。健康不安説もたびたび報じられる。

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