
個人消費が活発となり、10月雇用統計も予想以上の改善ぶりをみせた米国。「やるやる」と噂が飛んだ米中央銀行(米連邦準備制度理事会=FRB)の利上げだが、どうやら12月に「やる」ことが現実味を帯びてきた。当然、各国にも影響を及ぼすことになる。
現状も金融緩和を続ける日本は果たして大丈夫なのか。投資信託の運用責任者は声をひそめる。
「ちょっとでもブレーキを踏むと、実体経済がどうなるかわからない恐怖がある。実体経済を成長させるために金融経済を肥大化させている状況で、ブレーキを踏むに踏めない。日銀も市場関係者も内心では『危ない』と思っています」
これにはアセットベストパートナーズの経済アナリスト、中原圭介氏も「日本の金融緩和の出口は一体あるのかないのかもわからない状況。まして(景気を冷やす)消費増税を狙うなら、同時に金利を上げる出口戦略はできない。日銀黒田総裁は後ろ盾だったリフレ派の浜田宏一氏、本田悦朗氏、クルーグマン氏にもはしごを外された。インフレ率も思うように上がらず、賃金も伸び悩んでいる。安倍政権も黒田総裁も自らの間違いを認めない。これは政権と日銀の経済失政です」と言い放つ。
そそくさと「出口」に向かう米国はいいが、日米欧の中央銀行が金融緩和を繰り返し、実体経済とはかけ離れた膨大な量のマネーであふれかえっている世界経済はどうなってしまうのか。物騒な話もある。