初代信之公の墓碑と幸村らの供養碑が向かい合っている(撮影/写真部・加藤夏子)
初代信之公の墓碑と幸村らの供養碑が向かい合っている(撮影/写真部・加藤夏子)
初代藩祖・真田信之公の御霊屋。国の重要文化財(撮影/写真部・加藤夏子)
初代藩祖・真田信之公の御霊屋。国の重要文化財(撮影/写真部・加藤夏子)

 戦国武将・真田幸村の血脈を受け継ぐ真田家14代当主の真田幸俊(ゆきとし)さん。今回は、真田家の菩提寺である長国寺の話を披露してくれた。

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 松代は寺の多い町でもある。40以上もある。その中で特に長国寺は真田家の菩提寺として特別である。

 長国寺のゆかりは上田市真田町にある長谷(ちょうこく)寺であり、藩祖信之の松代転封を機に松代に建てられたものである。初代信之、3代幸道、4代信弘の御霊屋が現存している。また松代藩は転封後、幕末まで真田家が治めたため、歴代藩主の墓や恩田木工(もく)ら家臣の墓が残っている。

 信之公の霊屋は国の重要文化財に指定されている。霊屋の正面の唐破風の雌雄の鶴は左甚五郎作と伝えられ、内部の格天井には狩野探幽筆と伝わる天井画が描かれている。仏壇には信之と小松姫夫妻の位碑が安置されている。夏にこの霊屋でお経をあげていただくのが例年の行事となっている。真田家の当主とその家族のみが御霊屋の奥に入ることが許されるとされ、いまでもしきたりは守られている。

 長国寺には多数の寺宝がある。その中でも特筆すべきは浮世絵の開祖と言われる岩佐又兵衛の堀江物語絵巻1巻である。この絵巻物は平成6年の寺宝研究調査の際に発見された。実はこの絵巻物は長国寺の蔵に、その存在を知られずにしまわれていた。当時のご住職の奥様のお話では、ただ「城の絵」とメモ書きをつけて置いてあったそうだ。以来、傷んだ部分を修繕し、大切に保管されている。

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