![考える人 2015年 11 月号Amazonで購入する
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作家でコラムニストの亀和田武氏は、本誌連載『マガジンの虎』で、今回は季刊誌「考える人」を取り上げた。
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季刊誌「考える人」(新潮社)15年秋号の特集は<宇宙>。運がいい。発売数日後に、梶田隆章さんがニュートリノ研究でノーベル物理学賞に決まった。
向井万起男さんと村山斉さんの巻頭20ページ対談が、読みごたえたっぷり。村山さんは専門の素粒子物理学から、宇宙の成り立ちに迫る。
宇宙物理学は証明が難しいですよね、と訊かれた村山さんは「でも、僕らにはタイムマシンがあります。大型望遠鏡で遠くが見える。遠くが見えると、昔が見えてくる。宇宙の昔は本当に見えるので、『あ、ビッグバンやっている』というのが見えるんですよ。百三十八億光年向こうに」。
不思議だねえ。「今ある宇宙が全体として、あるときは原子核よりも小さかった。目に見えないぐらい小さかった」(村山)。小さい世界の箱の中で素粒子がブンブン運動してたら、箱に少し凸凹ができて、その凸のところにダークマターが介在して(って、よく説明できないんですが)ガスを引っ張って、さらに引っ張り込んで星ができたと。
向井さんが「前々から気になっていたんですが、ダークマターって日本語で『暗黒物質』ですよね。あれ、訳が間違ってませんかね。ダークマターのダークって、『不思議な』とか『意味不明』だと思うんですけど。暗黒物質は誤解を与えますよ」と迫る。
でも「暗黒物質はいい人なんです。私たちの生き別れのお母さんなんです」と村山さん。「なるほど。ところで、本当にあるんですか」「ありますね」「本当かなあ(笑)」
いいでしょ、このやりとりが。もっと根源的な「なぜ宇宙があるのか」という、究極の謎も語られていてスリリングです。
※週刊朝日 2015年10月30日号
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