「老後のことを考えると、金利が安い今のうちに住宅ローンを借り換えたい」
こう話す会社員の田中静恵さん(46)の悩みは、定年後も1千万円超の住宅ローンが残ること。
「今は返済に困ることなどないけれど、定年後に年金から今と同じ金額の返済ができるかどうかは、正直不安。退職金で完済する方法もあるけれど、老後資金が足りなくなりそうで心配です」(田中さん)
住宅ローンアドバイザーで宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーとしても活躍するプラチナ・コンシェルジュの久谷真理子氏は、「田中さんと同じ悩みを持つ人は少なくない」と語る。
「年金の支給開始年齢をさらに遅らせることも検討されている今、退職金で住宅ローンを一括返済することは避けたい。老後の生活資金が不足する恐れがあります」(久谷氏)
なかには、住宅ローンを早く完済しようと、貯蓄のほとんどを繰り上げ返済に充てる人もいる。久谷氏は「その結果、子どもの教育費や急な支出に対応できず、そのために借金をするケースもある」と警告する。