安倍晋三首相と経団連の榊原定征会長 (c)朝日新聞社 @@写禁
安倍晋三首相と経団連の榊原定征会長 (c)朝日新聞社 @@写禁
この記事の写真をすべて見る

 政府は、来年4月施行を目指して、残業代をゼロにする法律「改正労働基準法」を今国会で通そうとしている。主に二つ。一つは専門職に就き、高収入を得ている人を労働基準法の時間規制から外す「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」、いわゆる「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)制度」。もう一つは「裁量労働制の対象拡大」。

 WEは、為替ディーラーや研究開発職など、高度な専門知識で業務に従事する年収1075万円以上の人が対象。本人が同意し、労使で構成する委員会で合意した上で導入される。健康確保措置は設けられるものの、1日8時間、週40時間の労働基準法の時間規制から除外。休日、深夜の時間外手当は支払われなくなる。

 年収1千万円以上の人は4%程度。しかし、ある国会議員によると、財界人との朝食会で、塩崎恭久厚労相は「われわれとしては、小さく産んで大きく育てる」と明言したという。今後、年収要件が下げられる見通しだ。

 一方の裁量労働制とは、どれだけ働いても、事前に労使が合意した「みなし労働時間」で働いたとする制度。現在は、研究職、弁護士などの専門職、記者やソフトウェア開発者などが該当するが、一部の営業職にまで拡大するという。

 いったいなぜ、安倍政権は法改正を進めるのか。労働時間の緩和は、「成長戦略の一環」と説明する。

次のページ