「私は不思議に思っているのですが、規制委員会が原発の審査を終えて『合格』と言うと国民は安全だと受け取る。だが、規制委員長は自ら『安全とは言っていない』と言う。政府は『世界一厳しい審査基準で安全が確認されたから再稼働する』と言うが、世界一の基準だと言うならアメリカと比べてみればいいでしょう。第三者を入れて。どこが世界一厳しいのか、ということを調査して公開すればいい。マスコミが黙っているのも不思議です」
6月4日に鹿児島市内で行われた講演「日本の歩むべき道」での小泉純一郎氏(73)の言葉だ。小泉氏は首相時代、「原発は安全で低コストでクリーンだ」と思っていたが、3.11以降、真実は違ったと気づいたという。
「引退したと言っても寝てていいのか。論語にも『過ちを改むるにはばかることなかれ』という言葉があり、これだと思いました。引退したとはいえ、まだ元気なんです。私の首相時代に誤った。その過ちを少しでも正していかなければいかんという気持ちになり、原発ゼロの運動を始めました」
『小泉純一郎・進次郎秘録』を6月10日に出版した作家の大下英治氏は小泉氏と時々、行きつけの小料理屋で酒を酌み交わす仲だ。
「小泉さんは『俺の今後の仕事は原発ゼロ。これに尽きる』と言ってました。復興政務官として被災地に毎月通う息子、進次郎君からも大きな影響を受けていると思います。原発問題は親子で通じ合うところがあるようです」(大下氏)
本誌記者が進次郎氏と原発問題について語り合うことはないのかと問うと、小泉氏は笑顔でこう答えた。