最初に会ったころ、しきりに「取れたリンゴの実を分けるのではない。リンゴの木を植えてるだけでもない。リンゴの木を植える畑の土を入れ替えて収穫を増やしたい」と持論を説いていました。大阪都構想の前に、いかにして大阪という土壌を豊かにするかと言っていた。松下政経塾を設立した松下幸之助さんと同じような長期ビジョンの発想です。

 また純粋な性格がゆえ、思ったことをそのまま言ってしまう。敵を作らないという配慮がなく、ご機嫌取りを一切やらない(苦笑)。

 今回の否決の結果を受けて、橋下さんは市長任期の12月で政治家引退を宣言しました。でも、戦いは続いていると認識してくれたら、橋下徹という人物の使い方はいろいろある。

 大阪のためにも日本のためにも、もう一回挑戦してほしい。都構想の仕組みやメリットを改めて説明しながら、2、3年後にもう一回、住民投票をやる。住民投票に将来見直し条項を明示するのもその一つでしょう。とにかくそこを突破しないと日本の自治制度を抜本的に変えることができないんです。

 明治維新も1回では果たせなかった。1864年の「蛤御門(はまぐりごもん)の変」で長州藩が躓(つまず)いたが、その後高杉晋作が盛り返した。奇兵隊を興して、もう一回体制を立て直してほしいですね。

週刊朝日 2015年6月5日号

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