安保法制を閣議決定し、記者会見する安倍晋三首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
安保法制を閣議決定し、記者会見する安倍晋三首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
この記事の写真をすべて見る

 憲法記念日が迫った4月28日。自民党の憲法改正推進本部の船田元(はじめ)本部長(61)が記者会見を開いた。集まった記者たちに配られたのは漫画の小冊子。子どもを抱っこする若いママとパパ、祖父、曽祖父が穏やかに笑う明るいタッチ。タイトルは「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」だ。

 漫画は64ページ。タイトルどおり、4世代家族5人が、日常の風景から憲法改正について考えていく内容だ。党のウェブサイトでも閲覧できる。5万部を発行し、党主催イベントのほか、国会議員や地方議員を通じて配布するという。船田氏は、

「憲法は雲の上の存在で『我々の生活とは関係ない』という感覚の人が多い。憲法そのものに親しみがなく、関心もない。憲法改正の議論の前に、憲法のおかげで私たちの生活や国家が成り立っていることを理解してもらいたいと考えた」

 と話す。改憲をわかりやすく伝える手法として、漫画を使うアイデアが推進本部で持ち上がったという。

 今年2月4日、官邸で安倍晋三首相(60)に相談すると「それはいいね」と即決。推進本部の事務局長である礒崎陽輔首相補佐官(57)が中心となり、作成が始まった。

 漫画は、2歳の息子がいるアラサーの若夫婦の疑問に、祖父(64)、曽祖父(92)が答える形で進む。

 物語のスタートは、現行憲法が連合国軍総司令部(GHQ)の草案が基になって成立していることを、若夫婦が知ってショックを受ける場面だ。68年間一度も改正されていないことに触れながら、「基本的人権が保障されているが、何をしてもいいわけではない。いまの憲法は個人主義的といえる」「環境保全の義務、プライバシーに関すること、地震などの緊急事態に関する規定など今の憲法に明記されていないことは多い」と、祖父と曽祖父が順に指摘していく。

次のページ