
デビューから33年経った原田知世さん。確実に時は流れてきたはずなのに、少しも変わらない透明感を前にすると、時間の感覚がよくわからなくなる。
「10代の頃、未来が永遠に続くと思っていました。20代になって、自分のことを客観的に考えるようになり、30代は心身ともに充実した状態で過ごし、40代になって未来は永遠ではないことに気づき……」。ふふふと笑って続けた。「常に今が一番楽しいです」
女優のイメージが強いが、コンスタントにアルバムを発表し、歌手としても円熟の域に至りつつある。新作のカバーアルバム「恋愛小説」では10曲のラブソングを収録。「演じる自分と歌う自分が、うまく溶け合ってきました」
人生の目標は「かわいいおばあちゃんになること」。若い頃はメイクや衣装が「鎧(よろい)のようだった」けれど、今は、飾ることなくカメラや観客の前に立てるという。
「若さ、きらめきはなくなっていくけれど、味わいが身についてくれば素敵なことだと思います」
年齢を重ねることにどこまでもポジティブな姿勢に、うっとりしました。
※週刊朝日 2015年5月22日号