プチ鹿島:僕らがやっているのは「床屋政談」です。床屋でいろんな人が政治について「ありゃあダメだな」と、やいのやいの言っているような。そのくらいリラックスした感じでいいんじゃないと。政治に対して「知識がないと語れない」というのは重たすぎるでしょ。
ダースレイダー:そんななか、20年6月に公開された大島新監督の「なぜ君は総理大臣になれないのか」が話題になったんです。そして翌年の衆院選では続編の「香川1区」という映画を作ると。「ここにはおもしろそうな気配が漂いまくっている!」と行ってみることにしたんです。
──「なぜ君は総理大臣になれないのか」は立憲民主党の小川淳也氏を17年かけて追ったドキュメンタリー。小川氏は衆院香川1区で長年にわたり自民党の平井卓也氏と事実上の“一騎打ち”を繰り広げ、敗れ続けてきた。2人はその映画に心を動かされたという。そこから生まれたのが本作「劇場版 センキョナンデス」だ。21年の衆院選で香川1区の選挙戦の現場に乗り込み、平井、小川両氏のほか、日本維新の会から出馬した町川順子氏らにも体当たり取材を敢行した。
プチ鹿島:僕らはヒリヒリする現場を見たいっていう欲望が強いんです。公平性というよりも、本当に自分たちの興味ですよね。例えば同じ「手応え、どうですか?」という質問をしたときの反応だけでもそれぞれ違って、いろんなことがわかる。ちゃんと答えてくれる人もいるし、「次、行かなくちゃいけないから!」と答えてくれない人もいる。僕らをリトマス試験紙にして、候補者の「人」が見えてくる。
■やってることは誰もができる
ダースレイダー:僕らは特別なパスを持っているわけじゃないし、やっているのは誰もができること。路上にいる候補者に話を聞く。よく「選挙は難しい」とか「政策がわかんない」とかいうけれど、自分たちの見立てがあれば政治や選挙はおもしろいんだと、僕たちも改めてわかったし、見る人にも伝えたかった。