神奈川県警は2月27日、川崎市内に住むA(18)と17歳の少年B、Cを上村(うえむら)遼太君(13)の殺人容疑で逮捕した。少年たちがリンチ殺人という凶行に突っ走った“動機”は何なのか? 総力取材した。
少年たちの凄惨なリンチ殺人の背景には一体、何があったのだろうか。本誌は動機の核心ともいえる証言を得た。
上村君は昨秋から主犯格のAらを含む不良グループと行動を共にしていたが、複数の少年、少女らの証言によると、2人の間に諍(いさか)いがあったのは1月中旬。
Aから命じられた万引きを断った上村君が、Aらグループのメンバーから暴行を受けたのだ。この時の暴行で目の周りに黒いアザができた。だが、まだ続きがあった。上村君と親しかった少年の証言だ。
「かみそん(上村君の愛称)が『Aにやられた』というのを聞いて、Aに俺らで『かみそんには、もう手を出すな』って話をつけにいった。そしたらAは『本当にすみません、もうやりません』って言ってきて、かみそんはもう大丈夫だと思っていたんです」
上村君はこの時、グループを抜けたいと話していたというが、この一件で、Aは上村君に一方的に恨みを持つようになったというのだ。Aと親しかった少年の証言である。
「Aは上村君が他の年上グループに相談したことに激怒して、『あいつ、殺してやる』と口走るようになった。Aはこれまでも3、4人ボコボコにしている。特にビールを飲むとハイになって手が付けられないぐらい凶暴になった。かみそんにはAらに関わんなと言ったのに……。事件は酔った勢いと思う」
上村君が変わり果てた姿で発見されたのは、その1カ月後──。手口は残忍極まりないものだった。別の捜査関係者がこう語る。
「致命傷となったのは首の傷。遺体は全裸で、首の後ろと横に刃物で切られた跡があったほか、頬や手首にも複数の切り傷があった。上村君に抵抗した形跡が見られないため、体の自由を奪われた上で殺害されたとみている」
上村君の首の傷は深く、カッターよりも大型のナイフが使用された可能性があるという。遺体のひざにはあざがあり、殺害時、上村君がひざまずかされていたとみられている。
上村君の衣服や靴は現場から700メートルほど離れた公園の女子トイレで燃やされていた。
連行、拘束、首の切り傷、炎──。まるで「イスラム国」による処刑動画を模倣したかのようなおぞましい犯行だった。
主犯格とされるAの凶暴性について、不良グループの少年はこう言う。
「Aは同い年に相手にされないから、力で後輩を支配していた。エアガンで鳩を撃ったり、鉄パイプとか警棒とか変な武器を持っていて、犬や猫を追いかける。できるだけ関わらないようにしていた。日頃から酒が入ると『人を殺したい』と言い、『60代くらいの男性を鉄パイプで殴った前科がある』と自慢。かみそんが殺された後、AやBは『次は〇〇を殺してやる』と、別の友人の名を挙げて脅し、口止めをしていたと聞いた」
(本誌取材班=小泉耕平、上田耕司、牧野めぐみ、福田雄一、小倉宏弥/今西憲之)
※週刊朝日 2015年3月13日号より抜粋