1年前に家族でオーストラリアに引っ越し、今は日本に出稼ぎ状態だという、タレントで元TBSアナウンサーの小島慶子さん。テレビに雑誌にと活躍しているが、女子アナにコンプレックスを抱いていたことを作家・林真理子さんとの対談で明かした。
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林:航空運賃は自分で払うの? 事務所もち?
小島:もちろん自分ですよ。エコノミーですけど。
林:エコノミーで来てるの? ビジネスクラスじゃなくて。
小島:エコノミーで修業を積むと、ビジネスにグレードアップできるじゃないですか。いま、修業中なんです。
林:小島さんって名前も顔も知られてるから、エコノミーに座るといろいろ不都合じゃないの?
小島:ビジネスに乗ったら2時間早く着くとかならいいんですけど、かかる時間が同じで、価格差があるんだったら、私は安いほうがいいです。
林:そういうところがすごいですよ。『大黒柱マザー』という本、読ませていただきましたが、小島さんのいいところが全部出てますよね。肩書なしの人生の素晴らしさを説いたり。語弊があるかもしれないけど、女性アナウンサーって、「自分たちは選ばれた女性だから、それなりの男性が待っている」と信じて疑わないような人ばっかりでしょう。
小島:ハイスペックにハイスペックを重ねる、みたいな(笑)。
林:小島さんみたいにそういうことに興味がない人って、めずらしいんじゃないですか。
小島 コンプレックスの裏返しだったと思うんですね。アイドル女子アナとか、お嫁さんにしたい人気女子アナとかにすごく憧れてたんですけど、そういう路線で需要がなかったので、敗北感にまみれていたんです。「なんでェ、女子アナとか言って女子女子しやがって」みたいにグレて、ワークブーツにスッピン、ショートカットで現場に行くような、屈折していた時期があるんですね。
林:ええ。
小島:結婚相手も中小企業の人で、女子アナ基準でいうと華やかな人じゃなかったんですね。「ほらね、私が物欲まみれの女子アナじゃないっていう証しでしょ?」とか、無駄なプライドがあったような気もします。
林:そうなんですか。
小島:親はがっかりしてましたね。友達はホッとしてましたけど。いま思うと、「そんな意地にならなくても、IT長者と結婚するのもありだったんじゃないの?」って(笑)。好きになった人だからよかったんですけど。
※週刊朝日 2015年2月27日号より抜粋