和歌山県紀の川市の小学5年生、森田都史(とし)君(11)殺人容疑で逮捕された中村桜洲(おうしゅう)容疑者(22)は犯行への関与を一部、認め始めているという。
和歌山県警は、中村容疑者の自宅を複数回、家宅捜索。3本のナタのようなものが押収された。うち2本は「ククリナイフ」と呼ばれる、刃の先端が鋭くとがり、ブーメランのような形状のもので、殺傷能力が高いとされる。鑑定でナイフや中村容疑者の自宅の靴箱から血液も検出され、それらは、森田君のDNAと一致したという。
「目撃証言に加えて、DNAという客観証拠もそろった。実は事件直後、中村容疑者の家族もナイフなどを所持していることを知っており、『桜洲が何かやったのか』と疑い、気が気じゃなかったそうです」(捜査関係者)
中村容疑者は、逮捕時などに頬を膨らませ手をやるなど奇妙なポーズをとることが注目されている。取り調べでも同じようなしぐさをしているという。
「中村容疑者はおうちゃんという愛称で親しまれていた。中学校3年生だったか、体育の授業でうまくできないときに、頬を膨らませ嫌そうな顔だった。思いどおりにならないときにああいう表情が自然に出てしまうのではないか」(小中学校の同級生)
高校中退以降、ずっと引きこもりだった中村容疑者。前出の同級生はこう話す。
「おうちゃんは一時、警備員のバイトをしていた。だが、同僚と些細なことでトラブルになり、殴り合い寸前に。昔はおだやかでやさしいヤツだったのに、人が変わってしまった。その際『ナイフはおまもり』『ナイフがあるのでぶっ殺してやる』とか口走ったそうです。お父さんもおうちゃんの引きこもりに手を焼き、『こんなん息子やないわ』とあきれていた。物騒な男になったと心配していたらこんな事件になり、言葉がありません」
和歌山地検は責任能力の有無について精神鑑定を実施する予定だ。
中村容疑者には和歌山カレー毒物混入事件で林真須美死刑囚を担当した弁護士が連日、接見。対する和歌山県警捜査1課は、カレー事件の経験者を幹部にあて捜査にあたる。
今後、中村容疑者の心の闇がどこまで解明されるのか……。注目したい。
(本誌取材班=上田耕司、小泉耕平、西岡千史、福田雄一、牧野めぐみ/今西憲之)
※週刊朝日 2015年2月27日号