
今年も確定申告の季節がやってきた。一般的に会社員は年末調整を済ませているので、確定申告は関係ないと思っている人が多い。しかし医療費をたくさん払ったり、株や投資信託の取引以外に、仕事で使ったお金でも、確定申告で税金が戻ってくるケースがある。
どの会社でも近年“経費節約”の締め付けが厳しいため、会社で認められる経費のハードルは高い。実際に仕事のために使ったのに、経費として認められず自腹で支払った人も多いだろう。そんな人こそ活用したいのが「特定支出控除」。
13年分から経費として認められる範囲が拡大した。
「資格取得の費用、図書、衣服の購入費、得意先への接待代なども含まれるようになりました。税務署に提出する書類には、会社の印鑑が必要なためハードルが高く、毎年申請するのは厳しいかもしれませんが、資格取得のため多額の学費を払った年などで、経費をまとめて申請すると効果があるでしょう」(宝田・寿原会計事務所代表税理士の宝田健太郎氏)
認められる経費は基本的に仕事で使ったものに限る。
例えば、仕事のために利用したタクシー代が、経費として認められなかった場合、確定申告で申請できる。
仕事上必要なスキルを得るために通った学校の授業料も認められる。
「弁護士や公認会計士、税理士、医師、歯科医などの資格を取得するための学費は認められるようになりました。ただし、会社が『仕事上関係ない』と判断したら、弁護士や公認会計士の資格であっても経費として計上できません」(同)
法科大学院の授業料は資格取得費として認められても、会計大学院は、修了すると公認会計士試験の一部科目が免除になるだけなので「資格を取るための支出」とは見なされない。
また、カルチャースクールや趣味の講座であっても、それが業務上必要なスキルであれば認められることもあるという。さらに、得意先や客と会うときに、スーツを着ることが慣行になっている営業職などの立場の人は、スーツの購入代は必要経費になる。
ただし、合算して、給与所得控除額の2分の1を超えた分(年収1500万円以下)が、確定申告で控除できる仕組みになっている。年収が500万円の人は77万円を超えた分を控除できるというわけだ。ハードルは高いものの、トライしてみる価値はある。
※週刊朝日 2015年2月13日号
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