原油価格の急落など、年明け早々波乱含みの世界経済だが、個人投資家はどのような対策をすればいいのだろうか。
ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏はこうアドバイスをする。
「株より比較的安全な投資信託に投資をする人が多いと思いますが、不透明要因も多く、予期せぬ乱高下があることも見込んで、慎重に運用する必要があります」
特に個人投資家に人気の高い投資信託は、エネルギー関連株などに投資しているモノも多いので注意する必要がある。深野氏が言う。
「米国MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)ファンドは注意が必要です。これは、資源、エネルギー関連事業に投資するMLPを投資先とするファンドです。MLPはエネルギーを運営する『川中』の企業が主たる投資先とはいえ、エネルギー関連企業はシェールガス、オイルを中心に大打撃を受けており、安全ではありません」
気を付けたい投信として、深野氏がもうひとつ挙げるのは高利回り債券の「ハイイールド債」だ。格付け機関の格付けでもBB以下で、債務不履行に陥る可能性が高い債券。昨年は日本でも多く買われた。
「米のシェールガス企業は、S&P社の格付けで『BB』以下で、信用が低い投機的格付け債です。それゆえハイイールド債を発行して資金調達していますが、原油安が続くと債務不履行になる恐れがあります。今、手を出すのは危険でしょう」(同)
逆に、原油安を逆手に取って買うなら「中国株」だという。
「経済成長率が減速したといっても、まだ7%以上成長していて、昨年も新車販売台数が世界一だった。原油の消費量からみても、中国経済は原油安の恩恵をかなり受けています。事実、原油価格が下がると中国株は上がっています。昨年11月から高騰を続けていますが、まだ上昇は始まったばかりです」(同)
投資は自己責任で。
※週刊朝日 2015年1月30日号