辻元清美氏。女は強かった (c)朝日新聞社 @@写禁
辻元清美氏。女は強かった (c)朝日新聞社 @@写禁
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 激戦区を制したのは、キャラの立つオンナたちだった。大阪11区で民主党の平野博文元官房長官(65)、維新の党の伊東信久氏(50)との三つ巴のバトルに勝ったのが自民党の佐藤ゆかり氏(53)。当選が決まっても万歳をせず、深々と頭を下げた。

「大阪に骨を埋め、保守を根付かせる」

 終盤は平野氏に追い上げられ、何とか逃げ切ったが、その要因は公明票だった。

「厳しい世論調査結果を聞いた佐藤氏は、公明票が平野氏に流れているという情報に、『公明党の推薦もあるのにどういうことなの!』『せっかく頼まれて大阪まで来たのに』と、激怒したようです」(議会関係者)

 岐阜、東京と選挙区を転々とした末の大阪への鞍替えだったが、当の本人は、街頭演説でも常に「頼まれて来た」と強調。プライドの高さを覗かせつつ“ゆかりスマイル”を振りまき、意外と(?)大阪人に受け入れられたようである。

 お隣の10区では民主党の辻元清美氏(54)が接戦の末、勝利。対立候補の応援に橋下徹大阪市長(45)など大物が続々と参入した選挙を「集中砲火を浴びて非常に厳しかった」と語った。

 辻元氏は戦う相手は他の候補者ではなく「総理大臣・官邸」と強調してきた。

「安倍ソーリは金持ちのボンボン、紛争地に行ったこともないのに憲法9条をとやかく言う資格はない」

 その安倍首相自らが自民党候補の応援演説にかけつけると、弱音も出た。

「(自分を)今のうちに消しとけいうことです。みなさん、守ってください!」

 街頭では握手を求めた相手に怒鳴られることもあったが、演説で「昨日も高槻で襲われそうになった」とネタにするタフさで聴衆のハートをつかんだ。

 米どころの新潟4区でも熱い女の戦いが繰り広げられた。民主党の菊田真紀子氏(45)は、前回の衆院選で「元ミス日本関東代表」という華麗なる経歴を持つ自民党の金子恵美氏(36)に敗れ、比例復活に甘んじた。

 今回も、当初は金子氏が有利に戦いを進めると予想されたが、選挙戦が始まると状況は一変。菊田氏が猛追を見せたのだ。菊田選対の関係者は言う。

「農家や中小企業の方々が、アベノミクスの恩恵を受けていない。地域を回ると不満の声ばかりで、『表だっては言えないけど、民主党を応援してるよ』という声がたくさんあった」

 危機感を強めた金子陣営に対し、自民党は安倍首相、菅義偉官房長官ら大物議員を次々に投入。すると菊田氏は金子氏にこう嫌み返し。

「国会に座っているだけのお人形さんはいりません」

 結果は約3千票差で金子氏の2連勝となったが、菊田氏も比例復活で当選。熱い戦いはまだまだ続く。

週刊朝日  2014年12月26日号