“自公当選バブル”にわく中、選挙区で負けた唯一の閣僚となり、よほど悔しかったのだろう。比例復活を受けての万歳三唱を促されても、西川公也農林水産相(71)はかたくなに断った。

 会見では本誌記者になぜか、逆ギレ。

「あんたはなんだ。悪口ばっかり書いているとこか」

 ちなみに本誌は書いていない。親族会社からの物品購入疑惑が選挙に影響したのではと聞いてみると、こう開き直った。

「安く買って、確実に届いて、それがどうだこうだと言うほうが悪い」

 そもそも西川氏は前回の総選挙ではTPP反対を掲げて当選した。それがあっさりとTPP推進派に変節したために、農水相でありながら、農業関係者にすこぶる評判が悪い。

「言うこととやってることが百八十度ちがうから信じられない」(選挙区の農家)

「あの人は落としたほうがいいよ」(農協幹部)

 短い会見を終え、西川氏がそそくさと出ていった事務所には、片目のままのダルマが残されていた。

 一方、数々の疑惑にまみれながらも、早々に当確を決めた小渕優子前経済産業相(41)。今回は、地元・群馬での“おわび行脚”に徹した。

 雨が降る中、頭を深々と90度ほど下げ、聴衆に駆け寄って握手する。その姿は猛省しているように見えたが、本誌は見てしまった。

 

 投票日の3日前、小渕氏を乗せた選挙カーがランチに向かった先は、渋川市内で名店として知られる、おしゃれなレストランだった。小渕氏が食べたのはフレンチの「スズキと海老のソテー、彩り野菜添え」。約10人の選対関係者と50分間もランチを楽しんだ。

「私自身経験のないほどの苦しい戦いでありました」

 という謙虚な言葉とは裏腹な、余裕の圧勝だった。

 もう一人の辞任大臣、松島みどり前法相(58)も危なげない勝利だった。

 選挙期間中、選対関係者は、松島氏へのこんな不安を漏らしていた。

「週刊誌なんかに、松島は反省していないって書いてあったけど、そのとおりだなって思います。もっと本人が真剣に考えなきゃいけない。前回とちがって反応が悪いです」

 松島氏が駅でチラシを配っても受け取る人はパラパラ。だが、本人は「寒いとね、ポケットに手を入れてるから受け取ってくれないのよね」と至ってポジティブシンキングだ。
 当選会見では懲りずにこう開き直った。

「野党に指摘されたような、法律をおかしたという認識はありません」

「政治とカネ」の問題が指摘された江渡聡徳防衛相(59)、望月義夫環境相(67)も盤石の選挙で勝った。

“スキャンダル閣僚”たちがそろってまた議員バッジをつける。すべて「みそぎ」になってしまうのか……。

週刊朝日 2014年12月26日号