「原発ゼロにイエス、危険な安倍政権にノーを突きつけましょう!」

 前回、ギリギリの比例復活で11選を果たした菅直人元首相(68=東京18区)。解散の1週間以上前から三鷹駅などに立ち、「原発ゼロの実現と再生可能エネルギーの推進」を訴える。

 だが、周囲をSPが物々しく警護するものの、首相を目指したころのオーラは感じられず、立ち止まる人はわずか十数人。若者からは「あの人、引退したんじゃないの?」との声も。

 先月初旬の民主党の情勢調査では「自民候補に負けていた」(党関係者)というから、崖っぷちだ。

 そんな元宰相の“頼みの綱”は妻伸子(のぶこ)さん(69)。結婚44年。庶民的な性格と歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで、過去の国政選挙では応援弁士として引っ張りだこだった。今回、逆風の選挙をどうサポートするのか? 伸子さんを直撃した。

「双六(すごろく)だと総理大臣は“あがり”。菅に『あがってもまだ続けるの?』と聞いたんです。そしたら『原発ゼロを実現できるかどうか、この2~3年がヤマ場。国会議員でないと権限が違う』との答えでした。ああ立候補するんだ、いやだなあと思いましたよ(笑)。ただ辞めたところで趣味は少ないし、ヒマになってもね……(笑)」

 まだ議員を続けるのか、という声も少なくない。

「菅の原発問題にかける情熱には目を見張るものがある。先月、委員会の質問を見たけど、核心に切り込んでいて、『この人は政治家、それも野党に向いているな(笑)』と改めて思いました」

 伸子さんはまだ街頭に立っていないが、後援会への挨拶(あいさつ)回りや電話での支持呼びかけなど、裏方として夫を支える。

「今回の解散はわけがわからないですよね。アベノミクスの失敗がばれる前にやっちゃえ、ということでしょうか。首相は選挙に勝って4年あれば、憲法改正もできなくないって思っている気がしてます。それに自民党全体が引っ張られている。自民党ってこんなに危険な人ばかりじゃないと思ったんですけどね」

 その鋭い舌鋒(ぜっぽう)はいまの野党にほしいくらいだ。

 選挙戦になると、地元にほとんど帰らず、全国の選挙応援に走り回ってきた菅氏。今回は、党からの応援も期待できない。二人三脚の選挙戦で、前回の雪辱を果たすことができるか。

週刊朝日 2014年12月12日号