テレビ離れといわれて久しい昨今。面白い番組はあるのに、なぜ見られないのか。そのカギは「シェア」にあると堀江貴文氏は分析する。

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■テレビをバラバラにすると未来が明るくなる?
 スマートフォンとモバイルブロードバンドインターネットが普及している今、「シェア」することができないテレビ番組の構造は致命的である。

 面白いテレビ番組があって、ツイッターやフェイスブックでシェアしたところで、その書き込みを見た人はその肝心の「面白いテレビ番組」を見ることができない。せいぜい動画サイトに違法でアップロードされている動画を見るくらいだ。

 もちろんこれは違法行為なのでやってはいけないことだが、実際にITリテラシーの高い一部の不届きなユーザはそのような行為をしている。理由は簡単で、視聴者はただ面白いテレビ番組を「見たい」のだ。とはいえ、日々仕事をしていると時間が自由にならない日だってある。また、わざわざレンタルビデオ店に行って見逃したドラマ作品を見たくないし、お金だってレンタルするとけっこうかかる。再放送を録画予約するのも面倒だし、テレビ局がやっているサイトは有料でも全ての番組が見られるわけではない。問題は「今すぐ」「面白いシーンだけを」見たいのに、見られないということなのである。そうした思いに違法ながらも対応しているのが動画サイトというわけだ。

 実は技術的には簡単にそれは解消できる。すなわち全ての番組をインターネットでサイマル(同時)配信すればいいだけのことであり、そして面白いシーンから頭出しでシェアできるようにするだけで、これはテレビ局がやる気になりさえすればすぐに実現ができる。既存の様々な枠組みにとらわれていて、それが実現できていないのである。過去に放送した全番組をいつでも見られるようにしろと言っているわけではない。私はテレビ番組全てのネット再配信はせいぜい1週間程度で良く、それ以降も番組が見たければ有料課金をすればいいと思っている。テレビ局側にもメリットはある。会員制にして課金すれば収益につながる。

 シェアされた動画は20~30秒程度、無料で見られるが、それ以降は会員のみの視聴にすればいい。面白い番組はそれなりにあるので、月額課金制にすればテレビ局全局で数千万人の有料会員を確保するくらいのインパクトはあるだろう。

 最近になってようやく民放各社が足並みをそろえてテレビ番組のネット再配信に動き出した。これは先行するラジオ番組のネット再配信アプリであるradikoの成功も影響していると思われる。

 もともとローカル放送を無料で聴取できるアプリであったが、他の地域の放送も聴けるバージョンを有料でリリースしたところ大人気アプリとなったのである。これと同じビジネスモデルを構築することも可能だし、ラジオとは比較にならないくらいのユーザを獲得することになるだろう。そうすれば安定的な収益源を確保することができ、番組コンテンツそのものに多額の投資をできるようになる。そうすれば視聴者やユーザも増えていくという好循環を作ることができるのである。

週刊朝日  2014年11月21日号