今月3日には発表された改造内閣の人事。初入閣を果たした8人のうち、政権の「アキレス腱」になりかねないとささやかれている人たちがいる。
筆頭格が西川公也農林水産相(71)だ。農水族の西川氏はTPP反対を掲げて2012年の総選挙に当選したが、一転、推進側の自民党TPP対策委員長に就任して党内をまとめた。入閣は論功行賞とも言われる。
性格は“激情型”。13年3月の党のTPP作業部会ではテレビカメラの前で尾辻秀久元厚労相と怒鳴り合いの大ゲンカを演じ、年上の尾辻氏に「あんたも静かにしろよ!」とすごむ姿が話題になった。農業系業界紙の記者が解説する。
「すぐ頭に血が上るから答弁が心配。TPP推進への変節に農水族はカンカンで、協力しようという議員は皆無では。政府が改革のメスを入れるJA全中との激しい攻防を乗り切れるか。ある重要閣僚は『西川に大臣は無理だ』と安倍首相に進言していたそうです」
長男が11年に破たんした畜産会社「安愚楽牧場」の顧問を務めていた上、西川氏自身が同社から献金を受け取っていたこともあり、ワキの甘さも心配される。
次いで不安の声が聞こえてくるのは有村治子女性活躍担当相(43)。初入閣に、「皆さま(報道陣)もノーマークだったでしょうけど」と語ったように、知名度は高くない。
元日本マクドナルド社員で2児の母。日露戦争の英雄・東郷平八郎元帥の子孫だ。米国の大学院を修了した国際派で能力的には申し分なさそうなのだが、親交のある議員はこう語る。
「党内では有名な話ですが、有村さんは体調に不安を抱えている。朝から晩まで続く委員会は相当な負担だし、大臣の重圧に耐えられるか。担当分野もあまりに幅広いし、心配ですね」
大臣としての担当分野は「女性活躍」だけでなく「行政改革」「国家公務員制度」「消費者及び食品安全」「規制改革」「少子化対策」「男女共同参画」と多岐にわたる。たとえ体調が万全でもこなすのは一苦労だろう。
一人の閣僚も交代せずに内閣改造までこぎつけた安倍政権。今後も「無事故」を続けられるか。
※週刊朝日 2014年9月19日号