施工ミスが発覚した横浜パークスクエア三ツ沢公園 (c)朝日新聞社 @@写禁
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「一生に一度の買い物」が欠陥商品だったら――。横浜市内のマンションで、施工ミスによって建物が傾いていたことが発覚したが、これは氷山の一角かもしれない。

 実は、目に見えるズレや傾斜などがなくても、耐震性などに重大な「危険性」が潜むマンションは多いという。2011年の東日本大震災後、地震の被害が大きかったマンションを調べたところ、もともと耐震性に問題があった物件も多く見つかっている。

 住宅診断や住宅検査を行う、さくら事務所のマンション管理コンサルタント、土屋輝之氏がこう指摘する。

「マンションの不具合としては漏水、結露、臭気(悪臭)などがよくありますが、耐震性に直結する欠陥としては『構造スリット未施工』と鉄筋コンクリートの『コア抜き』の問題が見つかるケースが多いのです」

 構造スリットとは耐震性を高めるために柱と壁の間に隙間を設ける設計手法で、これが計画通りに設置されていないと耐震性が損なわれる。コア抜きとは、配線や配管を行うために鉄筋コンクリートをくりぬくことだが、このときに中の鉄筋まで同時に切断してしまうと、当然ながら強度は大幅に低下してしまう。

 今年2月、三菱地所レジデンスが販売予定だった東京・南青山の「億ション」で深刻な施工ミスが見つかり、販売中止となる事態となったが、原因は多数のコア抜きによるものと報じられている。

「私たちが行うマンションの共用部分調査でも構造スリット未施工とコア抜きの問題は3件に1件程度の割合で見つかります」(土屋氏)

 また、外壁タイルの浮きや剥離も要注意だという。剥離して落下すると、下を通りかかった人が大けがをしかねないなど、重大な事故に直結しかねない。

「竣工の12~13年後に大規模修繕工事をするとき、外壁タイルの浮きや剥離がかなり広範にわたっていることがわかることが多い。修繕のためにタイルをはがしてみたら、構造スリットやコンクリート工事の不具合などの問題が見つかることもあるのです」(同)

週刊朝日 2014年6月27日号より抜粋