「天才」といわれる笹井氏の理論も、小保方氏の強烈なキャラクターにはかなわない!? (c)朝日新聞社 @@写禁
「天才」といわれる笹井氏の理論も、小保方氏の強烈なキャラクターにはかなわない!? (c)朝日新聞社 @@写禁

 渦中の“キーマン”がついに姿を見せた。

 4月16日、理化学研究所(理研)発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長(52)が都内で会見。“寵愛”していたとされる小保方晴子ユニットリーダー(30)との 「不適切な関係」について「そういうことはありません。それは間違った臆測です」とやや憮然とした表情で否定した。

 一方でSTAP細胞について「有望で合理的な仮説」と、改めて存在の可能性を強調した。だが、自身の関与については「論文の仕上げに協力しただけ」などと釈明し、「私の仕事としてSTAPを考えたことはない」とまで言い切った。

 小保方氏については、「豊かな発想力があり、これだと思ったときの集中力は高い」と褒めつつも、「未熟という言葉を使いたくはないが、科学者として早いうちに身につけるテクニックを得る機会がなかった」とバッサリ切る場面もあった。

 東大医科学研究所の上(かみ)昌広・特任教授は、会見の印象をこう話す。

「科学者としては完璧だったと思います。説明は極めてわかりやすく、論理的でした。でも、組織のリーダーとしては失格。小保方さんにも問題がありますが、笹井さんの立場では、部下の小保方さんを公衆の面前で『未熟』と言うべきではなかった。上司が保身に走ると部下の信頼を失い、その部下は告発を始めます。すでに、小保方さんはウォールストリート・ジャーナルに情報を提供し始めている」

 これから、笹井氏、理研への告発が増える可能性があるという。

 理研関係者は笹井氏の“豹変ぶり”に驚いたという。

「笹井さんは、マスコミ発表前から『すごい発表になる』『これまでの常識を覆す、画期的な内容だ』とハイテンションだったんです。あの笹井さんが、そこまでになるんだと思うほどで『小保方くんは、若くてとんでもない才能がある』とべた褒めでした。それが、会見では『途中参加なので』などと自己弁護したり、小保方さんのミスと言ったりして逃げていた。失敗を押し付けていた感じもした」

 笹井氏は、なぜ手のひらを返したのか。京都大学名誉教授の泉孝英氏が語る。

「笹井くんは頭はいいけれど、発想はお役人的。極めて政治的な人間なんでしょうね。彼は、こうなった今でも『自分は理研を背負って立つ人間』と思っているはず。だから責任を取って辞めるような発言はまったくなかったでしょう」

 その一方、小保方氏は笹井氏が会見を開いた16日、弁護士を通じてこんなコメントを出した。

「尊敬する笹井先生が私の過ちのため、厳しい質問に答える姿を見て、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。申し訳なさ過ぎて、言葉にならない」

 泣きながらこう語ったとされる小保方氏に対して、日増しに同情の声が強まっているようだ。そんな風向きを読んでか、すでに複数の芸能事務所が小保方氏に接触を試みているという。

「もはや笹井さんは完全に悪役。ワイドショーでも、今や『小保方擁護』のコメントばかりです。国内の世論では、このゲームは小保方さんの勝ちでしょう」(前出・上氏)

 小保方氏のまさかの“逆転ホームラン”が、「審判員」に“ファウル”と認定されないといいが……。

週刊朝日  2014年5月2日号