老いた親の行く末は誰もが気になる。一人で抱え込まずに、周囲の人に頼るのと同時に、介護は「早めの情報収集が大切」だ。そのための5つの対処法を『一人でもだいじょうぶ 親の介護から看取りまで』(日本評論社)の著書もある医療福祉ジャーナリスト・おちとよこさんに教えてもらった。

【介護を乗り切る5つの知恵】
(1)親の家がある市区町村で担当の地域包括支援センターに行っておく
(2)早めの要介護認定の申請を心がける
(3)倒れた時の「もしものときの覚書」を親に書いてもらっておく
(4)もし、介護状態になっても、一人で抱え込まない。仕事は絶対に辞めない
(5)公的サービスをとことん利用する。近所やかかりつけ医にも積極的に助けを請う

 なかでも、いちばん大切なのは、親の住んでいる市区町村で、担当の「地域包括支援センター」を調べ、できれば親と一緒に行くことだ。

 地域包括支援センターは、2006年施行の介護保険法改正により、地域の高齢者の総合相談、介護支援体制づくり、高齢者の保健医療の向上などを目的として設置された。12年4月現在、全国で約4300カ所ある。

 介護の疑問や不安を相談できるうえ、介護保険の申請も可能だ。要介護ではない高齢者のために、介護予防のためのプログラムも用意されている。

 次に、「要介護認定」の申請は早めに準備することも重要。介護保険のサービスは、親が倒れたからといって、電話一本で、すぐ使えるわけではない。各市区町村の介護窓口や地域包括支援センターなどで「要介護認定」の申請をし、認定結果が「要支援」か「要介護」で、初めて利用できる。通常、申請から結果通知まで1カ月くらいかかる。

 親が倒れたとき、一人っ子は人手がない。申請の手間は意外と大きい。スムーズに介護保険サービスが利用できるよう、申請は気持ち早めにしておきたい。

 万一に備え、「もしものときの覚書」を親に書いてもらうことも欠かせない。いざ、親が倒れた場合、生活費用の口座や入っている保険、飲んでいる薬のことなど、意外と知らずに困ることが多い。

 特に介護している側、生活を預かっている側の親が倒れた場合は混乱する。そうしたときにもあわてないよう、生活の細々したことも聞いておくといい。

「好きな食べ物も聞いておくといいでしょう。私自身、倒れた母に何を食べさせていいかわからなかったので。食欲がないときでも好きなものだと食べられるし、喜んでもらえたら子どももうれしい。好みをわかっているほうが親も子もハッピーなんです」(おちさん)

 これらの対処法は、一人っ子の人も、そうでない人も、重要なことかもしれない。長寿社会、親より先にきょうだいが亡くなって、一人残されることもある。きょうだいが病弱だったり、海外赴任中だったりとアテにできないこともあるからだ。誰もが心しておきたい。

週刊朝日  2014年2月14日号