都知事選では原発が争点になっているが、それ以外にもさまざまな課題がある。都議らが集まって対処法を語り合うなかで、この2代の都知事にも話が及んだ。(以下、自民:自民党都連幹部、民主:民主党の都議、みんな:みんなの党の都議、市議:東京都内の市議)

*  *  *
民主:猪瀬直樹・前知事が追及されているうちに、政府と与党は、地方自治体の財源となる「法人住民税」のうち約6千億円を国税化することに決めてしまった。これなんかは企業の多い東京都が不利になるのだから、猪瀬さんはもっと怒らないといけなかったんだ。

市議:なのに、テレビに映る猪瀬さんの姿は疑惑の釈明ばかり……。政府・与党から何の譲歩も引き出せなかった。2020年東京五輪・パラリンピックを運営する組織委員会の会長も、騒動の間に森喜朗元首相になってしまった。東京都で議員をしている者としては、やっぱり都政に精通している人に会長になってほしかったよ。

自民:その点、2代前の都知事、石原慎太郎さんは交渉やケンカが上手だったよね。

民主:石原都政に賛否両論はあるけど、1期目(1999~2003年)は評価できる。羽田空港の国際化でも、国にどんどん意見を言って、成果を勝ち取った。都庁の職員で、現場をよく知っている青山佾(※にんべんに「八」と「月」/編集部注)さんを副知事にしたことで、石原さんと都庁職員がいい関係を築けていたと思う。2期目からは青山さんが退任して、都が出資する新銀行東京の経営問題などで迷走したけど。

市議:それにしても、猪瀬さんは都庁職員との信頼関係がダメだったね。とにかく怒鳴る。石原さんも怒鳴る人だったけど、最後は「君らがいないと都政は回らないんだから、何とか頑張ってくれ」とフォローを入れていた。猪瀬さんは怒鳴って終わり(笑)。

みんな:でも、副知事時代からツイッターで情報発信をして、改革には意欲的だったよ。都営バスの24時間化はタクシー業界から反発もあっただろうけど、試験運行も始めた。1年間で辞任したのは残念だった。

週刊朝日 2014年2月7日号