一部の資産家にしか関係ないと思われていた相続税が「増税」され、“庶民の税”になる。そして、これまで以上に入念な準備が必要になったといえる。相続人が確定し、相続財産もある程度把握できたら、次はそれぞれの人の相続割合(遺産の分割割合)をどうするかを決めよう。

 それには二つの考え方、「指定相続分」と「法定相続分」がある。亡くなった人の遺言で決める場合の割合が指定相続分、民法の規定にしたがう割合が法定相続分だ。法定相続分では、配偶者と子ども2人が相続人だとすると、配偶者が2分の1、子どもはそれぞれ4分の1ずつ(子ども全員で2分の1、それを1人ずつ均等に分ける)を相続すると決まっている。

 遺言がない場合は、相続人全員による遺産分割協議をすることになる。法定相続分で合意することも多いが、日ごろ仲のよかった家族でも、遺産分割となれば、「争族」といわれるほど、もめることが多い。

 たとえば、亡くなった人の介護をしていた長男が、その労力や費用などを理由に、「遺産を多くしてほしい」と主張するケースもある。協議がまとまらず、裁判所に持ち込まれることも多いのだ。

 実際、全国の家庭裁判所に持ち込まれる「遺産分割協議事件」は増加傾向にあり、12年度は約1万5千件に達する。特に、東京家裁では03年度の約1400件から12年度には約2千件と、10年間に約4割も増加している。「東京家裁で遺産分割の調停が多いのは、やはり地価が高いからです。相続財産が一戸建ての自宅など『分けられない財産』しかない場合、もめてしまうのです」(弁護士の小堀球美子さん)

週刊朝日 2014年1月3・10日号