とある大学で開かれた宇宙工学コンソーシアムに参加した、ライブドア元社長の堀江貴文氏。未来のロケット業界への熱い思いを明かした。
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先日、電気通信大学で開催された、UNISEC(大学宇宙工学コンソーシアム)のパネルディスカッションに参加してきた。毎年持ち回りでいろいろな大学で開催されているらしい。
今回はロケットと衛星のベンチャー企業と学生団体のメンバーでパネルディスカッションをしたので、実りある議論ができた。
すでに衛星のベンチャー企業は立ち上がりつつあって、日本でも初の純粋民間ベースでウェザーニューズ社の北極海の海氷観測衛星を打ち上げたアクセルスペース社の社長も参加していて、キューブサットといわれる小型観測衛星を打ち上げる先駆けとなった東大の中須賀真一先生らとも、小型衛星のビジネスは立ち上がりつつあるという認識で一致した。
現在は大型のロケットで一挙にたくさんの小型衛星を打ち上げたり、ピギーバックといってメインの衛星のおまけで打ち上げたりする機会しかない。希望の軌道に打ち上げるチャンスはほとんどなく、しかも打ち上げ時期においても、例えばロシアのロケットであれば、ロシア政府との折衝などの理由で遅延したり、メイン衛星の打ち上げの都合に左右されたりと、自由度が低い。つまり、格安の小型ロケットの打ち上げニーズは高いということが確認できたのだ。
しかし肝心の小型ロケットについては、大学の研究室も実験場の確保に難があったり、学生団体も予算の関係からなかなか技術の集積が図れなかったり、いろんな問題に悩まされているらしい。
また企業との連携も重要であり、新しいことは大学の研究室がチャレンジして技術の蓄積は企業側がやる、という役割分担が重要である。学生は大学を卒業していくので、せいぜい2、3年くらいしか同じ研究に従事しないからである。
一方、企業は長期間同じ従業員を雇うケースがほとんどだ。小型ロケットを格安で打ち上げるというミッションを達成するためには、学生団体にスポンサードして要素技術の開発を促進しなければならない。
今回は学生団体を対象にした技術コンテストを開催することが提案された。具体的には姿勢制御や機体の軽量化、エンジンの燃焼効率の向上やテレメトリーシステムの開発など、個別に技術の開発計画を設定し、それをコンテスト形式で達成できたらスポンサードをするという仕組みを考えている。クラウドファンディングなども活用してロケットの技術開発が促進できる体制を整備していきたいと考えている。
さらに学生の意識改革も必要だと感じた。どうしても親の影響や就職活動のテンプレート化によって大企業中心の就職がほとんどで、新規の技術開発・市場開拓をするベンチャー企業への就職は少ないというのが現状だ。優秀な人材の確保が難しいという事実が大きな課題として残っている。
それを解決するために積極的にコンテストなどを通じて学生たちと関わって意識改革を促進していきたいと思っている。ロケット業界の未来は明るいのではないか!
※週刊朝日 2013年12月27日号