中国が11月23日に突然、東シナ海上空の空域を防空識別圏に設定したと発表した。尖閣諸島の上空を含み、日本の防空識別圏と重なるものだ。日本も米国も抗議をしたが、中国側はどこ吹く風。ただ着実に、尖閣諸島を実効支配するシナリオを進めている。取材したのは軍事ジャーナリストの黒井文太氏だ。
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中国にとってもっとも得なのは、戦争に至らぬ“平時の駆け引き”で、日本の実効支配を突き崩し、なし崩しに尖閣を手に入れることだ。尖閣海域での活発な活動をみれば、中国側は一貫してその戦略に基づいて行動していることがわかる。日本ではすぐに「有事に備えよ」という話に飛躍しがちだが、“平時での駆け引き”の重要性があまり認識されていないようにみえる。
こうした中国の手法を考えれば、今回の防空識別圏設定は、なんら驚く話ではない。彼らは今後、初めは徐々に、やがて頻繁に戦闘機の発進を増やしていくだろう。
だが、本当に緊迫する局面は、その後に来る。彼らは尖閣諸島沖合12海里(約22キロ)の上空を領空と主張しているから、やがてその空域にも侵入を図るはずだ。日本側からすれば、領空侵犯である。