ダイコクドラッグは消費税が8%になっても「税込み100円均一」のコーナーで価格据え置きを決めた (c)朝日新聞社 @@写禁
ダイコクドラッグは消費税が8%になっても「税込み100円均一」のコーナーで価格据え置きを決めた (c)朝日新聞社 @@写禁

 来年には消費税率が8%になり、1年半後には10%になることが決定している。しかし、生活必需品などの増税は低所得者層に大きな打撃となるため、本来の税率より低い「軽減税率」導入のための議論が行われている。この軽減税率、消費者だけではなく、中小企業への配慮からも導入すべきだとする意見がある。

 アベノミクスによって景気は上向き、輸出企業を中心に企業業績も改善している。だが、この恩恵はいまのところ中小企業にまで波及しているわけではないからだ。

「東京都のある区が、区内の中小企業を調べたところ、9割以上の企業が『貸上げできない』と考えているとわかったのです」(信用調査会社・東京商工リサーチの友田信男情報本部長)

 中小企業の社員は賃上げを期待できない、うえに、軽減税率が導入されないなら増税がそのまま生活を直撃してしまう。日本では雇用の約7割を中小企業が占めている。負担軽減の支援がなければ消費が落ち込み、せっかく上向きかけた景気も腰折れとなりかねない。

「景気回復を軌道に乗せることを最優先すべきで、軽減税率など消費者の心理が冷え込まないような政策をとらなければならないのです」(友田本部長)

 景気回復が中小企業にまで及べば、賃上げも可能になるし、業績回復にともなって法人税の税収も増える。法人税を払っていない赤字企業は約76%にものぼるが、こうした企業が黒字転換すれば、消費税の減収分を補える可能性もあると友田本部長は指摘するのだ。

週刊朝日 2013年12月6日号