高松宮妃喜久子さまの「斂葬の儀」で礼拝する皇太子ご夫妻 (c)朝日新聞社 @@写禁
高松宮妃喜久子さまの「斂葬の儀」で礼拝する皇太子ご夫妻 (c)朝日新聞社 @@写禁

「今後の御陵及び御喪儀のあり方について」の発表が行われた。天皇皇后両陛下は火葬され、同一敷地内にお二人の陵(みささぎ)を設けることなどが決定したが、天皇、皇后以外の皇族の葬儀はどのようになっているのだろうか?

 天皇、皇后以外の皇族は戦後、火葬されて夫婦で合葬されるのが一般的だ。宮内庁によると、近畿地方を中心に全国に陵は188、墓は約550。だが、1873(明治6)年、明治天皇の長男の稚瑞照彦尊が死産したときに、豊島岡墓地(東京都文京区)に葬られてから、同墓地が皇族専用墓地として整備されて以降は、すべての皇族がこの墓地で眠っている。

 皇族がお亡くなりになると、まず、それぞれの宮邸に「殯宮(ひんきゅう)」が設置され、ご遺体が安置される。天皇陛下はじめ、皇族方が弔問に訪れ、ご遺体を棺に納める「御舟入(おふないり)」が行われるほか、通夜も営まれる。一般向けの記帳台も設けられ、長蛇の列ができることも多くある。

 本葬にあたる「斂葬(れんそう)の儀」は豊島岡墓地で。棺前に米や酒が供えられ、雅楽が演奏されるなどした後、基本的に同墓地内で火葬に付される。皇族方やご友人らが参列されるが、古来からのしきたりで、天皇、皇后両陛下は参列せず、使者を出されているという。

 天皇陛下や皇族方が喪に服される期間は、旧皇室服喪令によって定められている。亡くなられた皇族とのご関係性によってさまざまで、最長で150日。豊島岡墓地への墓参りは、皇族のほか縁故者または許可を受けた関係者しかできず、そのため、東京メトロ有楽町線「護国寺駅」からすぐの都心のど真ん中の立地にもかかわらず、「斂葬の儀」後の墓地には常に静寂が漂う。

 ただ、天皇、皇后両陛下の葬儀よりも簡素なせいもあって、葬儀全般において、亡くなった皇族のお人柄がにじみやすい。

 2002年、天皇陛下のいとこにあたる高円宮さまの「斂葬の儀」。サッカーを愛された高円宮さまらしく、名誉総裁を務めておられた日本サッカー協会の川淵三郎会長(当時)が棺をのせた車の脇に従ったほか、古式装束の司祭6人のうち3人は日本サッカー協会の関係者が務めた。

 皇籍を離脱されている天皇陛下の長女である黒田清子さんらは、民間人と同じ葬儀をされ、墓もそれぞれに建てられることになる。

週刊朝日  2013年11月29日号