犬猿の仲である「夫の母」と「息子の妻」間の「嫁姑のバトル」や「嫁いびり」は、かつて定番の家庭問題として取り上げられていた。しかし本誌が20代以上の既婚女性1000人へ実施したアンケートで、最近では「夫の母」が弱体化していることがわかった。また「『姑の言い分 嫁の言い分』の著者でノンフィクション作家の今井美沙子さんも「若い夫婦が両家の親に経済面や育児で依存する例は非常に増えています」と語る。
しかし、「息子の妻」が単に甘えているとも言えないのだ。育児休暇中のEさん(42)も、近くに住む義母に複雑な思いを抱きながら日々を過ごす。
「うちは共働きで実家も遠い。子どもが小さいうちは夫の両親の力を借りなければやっていけません。いろいろ不満はあっても、すべてのみ込んで頼らざるを得ないんです」
やはり共働きのFさん(34)も、同居の義母が子どもを甘やかすことに苦々しさを覚えながらも、それを口には出さない。
「彼女の協力なくして働けない。無料でこれだけ面倒をみてもらっていて、しつけまで要求できません」
ここで気づくのは「子ども(=孫)」という存在の大きさだ。息子の妻たちにとっては援助を引き出す切り札であるのと同時に、弱みにもなっている。「子はかすがい」とはよく言ったもので、今どきの嫁姑関係をつなぎとめたり、ギクシャクした意思疎通を和らげたりもしている。
ただし摩擦の火種もはらんでいるのは、アンケートの設問「『夫の母』に干渉されて一番嫌なこと」の“実質的な”1位が「育児や子育ての方針」だった点からも明らかだ。
息子の妻たちの自由記述を見ると、「子育ての仕方に文句を言う」(40代、同居)、「子どもたちのことを必要以上に心配し、過敏に反応する」(40代、別居)などのほか、「子どもをかわいがってくれない」(40代、同居)という訴えもあった。
子どもをつくろうかどうかと迷った時期があるGさん(45)は、義弟の子どもに対する過干渉ぶりに心がなえ、「とてもじゃないけどその気になれなかった」と打ち明ける。
※週刊朝日 2013年11月22日号