名古屋市内に設置された水素ステーション (c)朝日新聞社 @@写禁
名古屋市内に設置された水素ステーション (c)朝日新聞社 @@写禁

 リッター30キロ以上の燃費、プリウスのようなハイブリッド車など、エコカーは拡大しているが、次世代エコカーとして自動車メーカーは「脱ガソリン」自動車の開発にしのぎを削っている。「究極のエコカー」として生き残るのは、外部から充電した電気で走る電気自動車(EV)なのか、水素と酸素を反応させて作る電気で走行する燃料電池車(FCV)なのか――。

 FCVの発売はいよいよ目前に迫ってきた。トヨタ、ホンダは再来年の2015年、日産は17年に発売予定。15年は「FCV元年」となりそうだ。

 気になるお値段は、

「1千万円を切るめどはついています」(トヨタ広報)

 1千万円……高級セダン並みだ。まだまだ高いように思えるが、トヨタが02年に官公庁向けなどに限定リースしたSUV(スポーツ用多目的車)タイプのFCVが、1台1億円とも2億円ともいわれたことと比べると、かなり低価格に抑えられているといえよう。

 EVとFCVにはそれぞれ一長一短あり、使い勝手も異なる。おおまかにいえば、近距離しか乗らないのであればEV、さらに遠乗りにも使いたいのであればFCVというところだろうか。

 エコカーの生き残り合戦には、ガソリンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車や、植物性の燃料を使うバイオ燃料車も参戦している。現段階で先行きを見通すのは難しく、メーカーも全方位的な開発をせざるを得ない状況だ。

「本命がないともいえますし、すべてが本命ともいえる」(ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表)

 複数のエコカーが混在する状態がしばらく続きそうだ。ユーザーからすると、それだけ選択肢が広がってくるともいえる。ゆっくり時間をかけて、ライフスタイルに合った「乗って楽しい」一台を選びたいものだ。

週刊朝日 2013年10月25日号