国内では「イプシロン」の打ち上げで盛り上がるなか、海外では思わぬ“主役”が空に旅立った。一枚の写真に残された奇跡とは。

 遡ることおよそ半世紀前、旧ソ連のスプートニク2号(1957年)に乗った犬「ライカ」や、米マーキュリー計画(61年)でのチンパンジー「ハム」と言った動物が宇宙へ打ち上げられ、その名が世界に知れ渡った。そして、いま再び、ロケット打ち上げで脚光を浴びている動物がいる。

 カエルだ。

 9月6日、米ワロップス飛行施設から月の無人探査機「LADEE」を搭載したロケットが打ち上げられた際、噴煙とともに夜空に高く舞い上がるカエルが、NASAが撮影した写真に写りこんだ。まるでロケットと一緒に発射したかのような勇ましい姿。のちに、NASAも“本物”と認めた。発射の際の衝撃緩和や騒音低減のために発射台周辺に放水することがあるが、そのための貯水施設の“住人”だった可能性がある。

 もちろん、宇宙へと旅立ったのではないはずだが、その後のカエルの消息は、NASAも「不明」としている。何事もなかったかのようにケロッとした顔で、また飛び跳ねていればいいのだが。

週刊朝日  2013年10月4日号