宮崎駿監督(72)が電撃的に長編映画からの引退を発表。体力的な限界などが理由とされているが、宮崎監督の膨大な作業量を考えるともっともだと言える。しかし、かつて宮崎監督はその作業スタイルを変えようと試みたことがあったという。
宮崎アニメに使われる絵の枚数は膨大だ。例えば「崖の上のポニョ」は約17万枚で、その隅々にまで宮崎さんの手が入っている。信じられないほどの作業量をこなして初めて、生命力に満ちた動き、映像の快楽が生まれる。その作業が体力的に限界となれば終わりを迎えるしかない。
ジブリ関係者によれば、「風立ちぬ」の製作は、これまでの作品以上に宮崎さんの気力・体力を奪ったという。同時に製作していた高畑勲監督による「かぐや姫の物語」(11月23日公開)に、日本中の腕利きのアニメーターが集められた結果、「風立ちぬ」のスタッフが手薄になってしまったからだ。
「宮崎さんはつらそうでした。主な登場人物の作画を、全部自分が主導せざるを得なくなったから。『本当はあのアニメーターにやってもらいたいんだが』という嘆きを何度か聞いた。『かぐや』の製作は遅れ、担当プロデューサーが宮崎さんに『何人かアニメーターを回して』とお願いに行った時には激怒していました。『そっちにはすごいのが腐るほどいるだろう!』って」(ジブリ関係者)