撮影/写真部・岡田晃奈
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主婦の菜那子さん。リビングで取引したり、料理中もスマートフォンでチェックしたりしている(撮影/写真部・岡田晃奈)
主婦の菜那子さん。リビングで取引したり、料理中もスマートフォンでチェックしたりしている(撮影/写真部・岡田晃奈)

 外国為替証拠金取引(FX)をする日本の主婦たちが為替相場に大きな影響を与え始めている。「ミセス・ワタナベ」という名で海外にもとどろき、世界中の投資家が動向に注目するほどだ。大阪府に住む主婦の奈那子さん(44・ハンドルネーム)もその一人だが、いまではOLのお給料以上を安定的に稼ぐほどになったという。

 金融先物取引業協会によると、円建てのFXの取引額は2012年度に2256兆円となり、前年度と比べて3割増えた。日本の貿易総額の17倍もの規模になるというから驚きだ。

 安倍政権の金融政策「アベノミクス」による円安基調で個人投資家が元気を取り戻していることも背景にある。今年に入ってから個人投資家はさらに勢いを増し、4月、5月、6月の取引金額は3カ月連続で月間の過去最高を更新した。

「いまや日本の個人投資家が為替に与える影響は非常に大きくなっている。世界のヘッジファンドが動向を気にしているほどです」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)

 外貨への投資はFXだけではない。預金や外国債券もある。しかし、これらは、ある程度の資金が必要なうえ、長期に保有して利益を稼ぐものだ。奈那子さんのような主婦にとって、短期で稼げ、元手も少なくて済むFX投資は手軽だ。

 外為どっとコム総研によると、FX投資家の平均像は「大都市圏に住む30歳から40歳の男女」。仕事や家事が一段落した夕方以降に、50万円以下の元手で、25倍のレバレッジ(取引倍率。それが25倍なら元手の25倍の金額まで売買できる仕組み)で取引している人が多いそうだ。

週刊朝日  2013年8月16・23日号