押上天祖神社からスカイツリーを望む
押上天祖神社からスカイツリーを望む
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牛嶋神社の三ツ鳥居
牛嶋神社の三ツ鳥居

春慶寺の入り口に「岸井左馬之助寄宿之寺」碑。左手には鶴屋南北のお墓も
春慶寺の入り口に「岸井左馬之助寄宿之寺」碑。左手には鶴屋南北のお墓も

 4年に1度のオリンピックの年は、ほとんどの場合2月に29日が加わるうるう年となる(うるう年は400年間に97回、つまり100年に1回はうるう年にならない)。近代オリンピックは1892年にギリシヤ大会から始まり2020の東京が32回目を迎えることになるが、古代オリンピックも4年ごとに開催されていて、ローマ帝国の支配によって開催ができなくなるまでの1169年間に293回も続けられていたという伝統があった。

【写真】スカイツリー開業の神事を執り行った「牛嶋神社」

●うるう年と歴史の関係は

 うるう年というのは、オリンピックだけでなく大きな事件が起こされる年とも言われている。三億円事件や沖縄返還/浅間山荘事件、ロッキード事件、リクルート事件、グリコ・森永事件やペルー人質事件などが起きた年である。アメリカの大統領選も就任は翌年になるが選挙はうるう年だし(戦後のことではあるが)、プーチン大統領の誕生もリーマンショックもうるう年である。

 そんなうるう年の2012年2月29日に、東京スカイツリーは完成した。2008年の着工から3年半、開業は5月22日。本来は2011年中に完成予定であったが、すでに高さ600メートルに達した頃に東日本大震災に遭遇、塔に被害はなかったものの資材の搬入が滞り、完成まで2カ月の遅れが生じた。これが2月29日に完成となった理由である。

●江戸時代にスカイツリーは予言されていた?

 開業にあたっては、東京スカイツリーのお膝元である「牛嶋神社」の神職が氏神として神事を奉仕している。開業当時、東京スカイツリーに関して不思議な浮世絵が披露された。江戸時代末期に活躍した絵師・歌川国芳の「東都三ツ股の図」というものだが、現在の箱崎あたりの中州で作業をする漁師を描いていて、背景に「スカイツリーにそっくりな塔が描かれている!」と話題となった。テレビなどでもずいぶん取り上げられていたのでご覧になった方も多いだろう。実際は、井戸掘り用の櫓か相撲櫓ではないかという説が有力らしいが、他の絵ともからめて予言者・国芳とずいぶん盛り上がった。

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