「宮崎容疑者にとって、喜本被告は自身の価値観を共有できる存在。互いに同じ価値観を共有していたことで、怒りに拍車がかかってしまった」
■加害者になりやすい人とは
衝動的な感情を抑えられないのは、後天的な要因や運転時の環境に影響を受けることはわかった。では、そういったリスクを抱えている“要注意”の人物を見わける手段はないのだろうか。
「あえて言うと、高級車や大きい車に乗っている人。車格があたかも人間関係の優劣だと誤認し、精神的な“マウンティング”を引き起こしやすいからです」
実際に、車の価格が運転に影響を及ぼすという統計もある。藤井准教授の研究によると、車両価格が400万円以上の車を保有する人は、400万円未満の車を保有する人に比べて、運転中の怒りが喚起されやすく、またあおり行動をとる傾向もあるという。一方で、車両価格が300万円未満の車を保有する人は,300万円以上の車を保有する人に比べ、あおり被害を受けた経験が多い傾向があることがわかったという。
車の色にも運転手の潜在的な意識が現れるという。
「色彩心理的には、無意識に『価格が高そうに見える』とか『迫力がある』色を選んでいる可能性はある。黒は威圧感がありますし、白は膨張色で大きく見えます。対照的に黄色やピンクを選ぶ人は、あおり運転のリスクは低いと考えられます」
逆にピンクや黄色などの蛍光色の軽自動車に乗っている人は、あおりのターゲットにされやすい。乗車しているのが女性一人だとすればリスクはさらに高まるという。
■被害にあってしまった時の対処法とは
では、あおり行為に遭遇した場合、私たちはどう対処すればいいのだろうか。藤井准教授は「コミュニケーションで解決を試みるのは危険」だと指摘する。
「常識を逸脱した行動をする人に対しては、謝罪をして何とかなることはありません。むしろ下手に出てしまうと、精神的な“マウンティング”が起き、相手をさらに攻撃的にしてしまう可能性が高い」