この間、少し余裕があったので久しぶりにTSUTAYAでレンタルDVDを物色していました。
 そこで『テキサスの五人の仲間』を見つけてびっくりしてしまいました。
 以前「映画秘宝」のオールタイムベストテンアンケートでもあげたこともあるくらい大好きな映画ですが、なかなか観られる機会がない作品なのです。

 初めて観たのは、中学生か高校生くらいでしたでしょうか。日曜洋画劇場での放映でした。
「この映画を楽しみにしていた」なんてものでもありません。ぼんやり茶の間にいたら、なんとなく始まった。
 西部のある町の酒場でポーカー勝負が行われている。西部劇ではよくある風景です。そこにヘンリー・フォンダが勝負に加わる。ああ、主演は彼かと、そこで気づくくらい前情報は仕入れてなかった。というか、前情報の殆どない作品だったのですね。
 フォンダはその町をたまたま通りがかった夫婦で子供連れの旅人。他のメンバーは、さんざん博打をしてきたような食えなさそうな面構え。フォンダの実直そうな佇まいに、「ポーカーなんか始めて、食い物にされなきゃいいけどな」と思いながら、いつの間にかドラマに取り込まれていました。

 さて、この映画、語るのが本当に難しい。何を言ってもネタバレになるような気がする。
 ほんとはこんな文章も読んでほしくない。
 中学の時の僕のように、なんとなく観始めて、最後に「そう来たかあ」とうなってほしい。
 実はちゃんと観たのはこの時くらい。おそらく、もう30年以上は観ていない。それでも今でもこの作品を観たときの驚きははっきりと覚えている。いくつかのシーンも鮮明に思い出される。
 そのくらいインパクトのある作品だったのですね。 

 その幻の作品に、いきなりTSUTAYAの店頭で再会した。
 かつてVHSでは発売されていましたが、まだDVD発売はされていないはず。それがなぜレンタルに。
 いつの間にDVD発売されたんだろうと思って家に帰ってネット検索してみたのですが、やはりまだ発売はされていないようです。
 今回、TSUTAYAの発掘良品というシリーズのラインナップに加わって、日本語字幕付きのDVDがTSUTAYAだけでレンタルされているようなのです。
 これはうれしい。よくやったTSUTAYA。
 うれしいが、レンタルだけではもどかしい。なんとかDVDを手に入れたいと店頭で尋ねたのですが、販売されていないレンタルオンリーの商品だから、店員に聞いてもどうしようもない。
 でも、こっちも一生懸命です。
 よく、レンタルショップでは、ある程度レンタルされたDVDを中古商品として店頭販売します。
 この作品はそういうことはないのかと尋ねると、「おそらくメーカーに戻してしまうので、市場に出回る可能性は低いのではないか」という返事。
 残念だ。
 レンタルだけなんて生殺しだよ、TSUTAYA。頼むから販売もしてくれよ、TSUTAYA。いや、呼び捨てしません。お願いしますよ、TSUTAYAさん。TSUTAYA大明神。
 もっともTSUTAYAは店舗だから、販売会社が決断しなければ、販売には踏み切れないんだよな。
 どこか勇気あるDVDメーカーはないものか。

 唇をかみながら、TSUTAYAの店頭で『テキサスの五人の仲間』を観ている中年男がいたら、それは多分、僕です。

 追記:今回この文章を書くために、レンタルして30数年ぶりに観ました。今見ても充分面白い。よくできた脚本です。自分が初めてこの映画を観た日を確認したくてネットで検索してみると、日曜洋画劇場で1970年と1975年に放映されているらしい。1970年だと小学校四年なのですが、記憶では『スティング』なんかと比較して観た記憶があるので、これでは幼すぎる。1975年だと、もう高校生。中3くらいで観た気がしたのですが人の記憶は曖昧ですね。しかもそれが検索出来る今の時代ってすごいなあと改めて感心しました。検索ついでにショックな事を発見。この映画、今年の9月にNHK--BSで放映していたのです。ああ、しまった、その時録画しておけばよかった、縁がないとはこういうことなんですねえ。その残念な気持ちも含めて、DVD発売を心から望みます。