『髑髏城の七人』東京公演、無事幕を開けました。

 初日前日に通し稽古を観て、初日の舞台も観たのですが、大阪の千秋楽ともまた違ってました。
 大阪から10日間おいて、いったんクールダウンしたせいもあるのでしょうか。
 力強さが違った。
 こちらの勝手な思い込みかもしれませんが、キャストのみんなからもう一度この作品を演じることができる喜びのようなものを感じたのです。 
 東京初日の舞台が終わったあと、作曲担当の岡崎司さんとしみじみと「いやあ、若いっていいね」という話をしました。
 岡崎さんは、大阪初日以来の観劇だったので、尚のこと変化に驚いていたようでした。

 大阪公演の際に、森山未來くんが「ぶれていいんですよね」と聞いてました。天魔王の芝居を決め込まず、あえてぶれながら演じてみる。そういう意味だと受け取りました。
 まさに、今回はそうだと思います。
 脚本の段階から、今回の登場人物達は今までの『髑髏城』以上に迷っている。
 若さ故に迷い、若さ故に失敗し、若さ故に頑なになり、若さ故にひたむきになる。
 いいことも悪いことも含めて、その若さの脆さの果てに、それぞれが自分の道をみつける。そんな芝居になればいいと思っていました。
 そして、僕の願い以上に、青く若い『髑髏城』になったと思います。

 もちろん娯楽作品ですから、エンターテイメントとしての質がぶれてはいけない。そこのところは、千葉哲也さんのようなベテランの客演や劇団員が芝居の基礎をがっちり固めている。
 その中でメインの若いキャスト達が、その役柄とダブるように、舞台の上でぶつかりあっている。それが面白い。

 考えてみれば、21年前、やりたいことは溢れるほどあったけど、技術も何も追いつかなくて、気持ちだけが空回りした初演から三回の再演を経て、改めて、こんな形でこの『髑髏城の七人』が蘇るとは想像していませんでした。
 今回の『ワカドクロ』は、なんだか新しい扉を開いてくれた気がします。
 この先に、もっともっと見たい景色があるね、と大阪公演終了後、演出のいのうえと話しました。
 それが具体的な形を取るかは別として、20年以上前に作った芝居が、50を過ぎた自分たちにも、これだけの刺激を与えてくれる。なんと幸せなことでしょう。
 作者は、作品に育てられる。
 改めて、そんな事を感じています。

 さて、『髑髏城』ばかりではない。
 先の日曜日から『仮面ライダーフォーゼ』も始まりました。
 おかげさまで、評判も悪くないようです。
 というか、「中島かずき節全開」みたいな声も多くて。
 いや、まあ、言われることはわかるのです。「『鋼鉄番長』じゃないか」とか「ライダーキックがドリルかよ、それなんて『グレンラガン』」とか、まあ言われても仕方ないかもしれない。
 ただ、プロデューサーや監督、他の脚本家さん、玩具開発のバンダイさん、その他多くのスタッフのみなさんと作っていっているので、僕の考えだけがそこまで突出しているわけではなく、チームとして『フォーゼ』はこういう色の作品にするということなんですね。
 その中で、自分の仕事はキッチリやっていくつもりです。
 自分も楽しんでやってますし、一見破天荒ではあるけれど、きちんと見応えのある作品を書いていきたいと思っています。