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50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、突然患った大病を乗り越えて、カムバックを果たした天龍源一郎さん。来年に迎える70歳という節目の年に向けて、いま天龍さんが伝えたいこととは? 今回は「元気な老い方」をテーマに、飄々と明るく、つれづれに語ります。
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脳梗塞の発症を公表したことで、たくさんのレスラー仲間から「大丈夫か!?」という連絡をもらったよ。みんなが気にしたのは、「身体のどこかに障害が出ていないか」ということだったね。だから、「一過性のもので今は小康状態だから全然大丈夫だよ」って、逆に彼らを落ち着かせたくらい。
俺も今では街中で杖をついている人を見かけると、その中には脳になんらかの障害を抱えているのかなということが分かるようになったけど、レスラーは循環器系の疾患の知識は乏しいから、この病気の程度を説明しても、ピンとこないんだよね。まあ、「大丈夫じゃなかったよ!」とは言えないよね(笑)。
でも、今は本当に自然体。もちろん以前はレスラーに、その前は相撲という職業に固執していたけど、もう、そこらへんのおっさんと変わらない。それで十分だと思っているしね。「あの親父、まだ元気だな」って思われていれば、それでいい。ただ、前も話したように身体の異変には敏感になった。それと同時に、女房や娘が必要以上に、「どこか悪くない? ホントに大丈夫!?」ってしつこく突っ込んでくるようになった(笑)。